朝食をとっていると、いきなり言われた。

「今日は、何がなんでも学校行くから・・・。」

語気がなんとも力なく。
(・・・まったく、そんな艶っぽい顔しやがって・・・。)
オレは呆れ顔で、朝食をとっている遊戯に言う。

「昨日よりも熱上がってるんだぞ?」

(そんな艶出して学校行って見ろよ。変な奴らに狙われるぜ?)
ソレでも行く気か?
お前は。

「・・・だって今日、日直だし・・・。」

遊戯は一口大にちぎったパンを口の中に入れて、マグマグと口の中で租借する・・。

「ご飯も食べれるんだから、大丈夫だよ。・・・・アテム。」

それでも心配なの?と、言わんばかりの表情で覗き込まれた。

「・・・何言ってるんだ。自分でテーブルに付く事すら出来ない奴は、大人しく寝てろ。」

言いながら軽く嗜めるように睨むと、とたんに寂しそうな表情に変わった。
オレが!
ココまで!!
お前の熱の高い体を、支えてやったから来れたんだろうが!!

「・・・・でも・・・他の人に日直を押し付けるわけにはいかないし・・・。」

「病気の時ぐらい、大人しくベッドで寝てろよ・・・。」

いうことを聞こうとしない遊戯に、腹が立ってきた。
こんなにもオレが心配してるのに、それを無視するような事ばかり言いやがる。

「これ以上風邪を拗らしてみろよ。城之内君や杏子、本田君や獏良君だって心配する」

一呼吸置いて、怒ったように目を閉じて、トドメの言葉を言ってやる。

「大人しくしないのならば、2度と一緒にデッキの構築してやらないからな・・・。」

『うっ!!!』と言う顔になった。

目が、空中を舞っている。
きっと色々考えているのだろう。
暫くして、悲しそうに俯いて・・・。

「・・・わかったよ・・・休むよ・・・。おとなしく・・・寝てるから・・・。」

ブツブツと何か言っていたが、「休む」と言わせられて、心からホッとした・・・。
『行く』と言ったら『行く』まで引き下がらないのだが、今日はなんだか大人しい。
これだけで折れてくれた・・・。

「行ってもどうせ授業も午前中だけだからな。」

寂しそうに俯いたまま、食事する遊戯がちょっと可哀想になって、オレは言葉を付け足した。

「・・・オレが帰って来たら、一緒にデッキ構築するか?」

俯いていた顔をそっと上げながら、やさしい、オレの好きな表情。

「・・・・うん!」

至極嬉しそうに言った。

遊戯に風邪薬を飲ませ終え。
自分もしっかりと朝食をとりおわり。
席を立って部屋へと続く階段に向かおうとして、座ったままの遊戯の傍を歩いていたその時。

「・・・あ、僕も・・・行く・・。」

遊戯が立とうとして

「・・・あ。」

風邪薬飲んでるのに、そんな急激に動くな!!
・・・と、言おうとしたのだが・・・。

「遊戯!!」

フラリと、オレの方に倒れこむ遊戯を、体で受けとめた。
・・・が、突然の事だったので、オレも受身を取れず、遊戯を抱えたまま
フロ−リングに背中を強く打ちつけた・・・。

「・・・・っ・・・。大丈夫か!遊戯!」

腕の中の遊戯は無事なようなので、ホッと肩の力を抜いた。
熱に侵されて苦しいのか、瞳が潤んでいる。


(このまま押し倒してしまえたら・・・。)


「・・・ごめん・・。アテム・・・。」

すまなさそうに。
床から立ちあがりながら、そう言ってきた。
オレも立ちあがる。

「あの風邪薬、睡眠薬が入ってるんだろ?いきなりな事は、するな・・・。」

そう言って頭を優しく撫ぜた。

「ほら。二階に行くゼ?」

遊戯の腕をオレの肩にかけさせると、オレは遊戯の腰に手をまわした。
力を込めてしっかり支えると、遊戯の甘いにおいがした。


(・・・・・もっと・・・)


なんとか階段を上り、部屋についた。
足元が覚束ない遊戯を、ベットに寝かせ付けようとしてバランスを崩て
オレは、遊戯の上に覆い被さってしまった・・・。

「わるい!!!」

上から退こうとしたが、遊戯の甘いにおいが、オレを捕らえて離さなかった


(遊戯の甘いにおい・・・。)

(・・・このまま、このパジャマを剥いでしまえば・・・。)


「・・・おも・・た・・い・・・。」

苦しそうな声を聞いて、やっと体を退かせた。

「わるいな・・・。」

風邪薬の効果によって、少し眠たそうな目が、また、淫らにも見える・・・。


(オレにそんな眼を向けるな・・・)


「もう、行くんでしょ?」

寂しそうに聞いてくる。

「あぁ。直ぐに帰ってくるから、大人しく寝てろよ?」

布団をかけてやりながら、額にキスしてやった。
少しくすぐったそうにしていたが、安心したのか、直ぐに眠ってしまった・・・。

「すぐにもどるから・・・。」

卑怯だとは思いながら、眠る遊戯の唇に深く口付ける。


この気持ちを罪と知りながら
お前を汚したくないと思いながら
それでも口付ける。
オレの抱えたこの罪深き思いを知った時。
お前が強く抵抗しても
オレは、お前を・・・
きっとその領域を侵してしまいそうで。
お前に嫌われるという、傷みを覚えるくらいならば

いっその事、オレを殺してくれないか?






※読みにくい文字色にしたのは、そう表現したかったので…悪しからず※
2004.3/26.14:30.pm

feel a pain.
Mad mind...の翌朝になってしまいました。
続きを書くつもりは無かったのですが、続きになってしまいました(汗)
軽い気持ちで書いたのに、重いものになってしまい、自分的にちょっとショックです。
『重いのしか書けないの?』とか考えてしまいましたが、こっちの闇君を主体に書くから、暗くなるんでしょうね・・・。
次は表君のほうで書いてみたいとおもいます。

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